お月さまに恋する夕べ


雨傘を持つ手の高さに気がついた 斜め上から君の声降る

しばらくは恋なんていいと思ってた 心地よく染む君のテノール

聡明な弟のようで優しい兄で変幻自在の君に気が付く

ねえ、君は、昼の空にも夜空にも素知らぬ顔で浮かぶ月だね。

君の持つ速度と空気、熱の量 初めて出会えたオトコノコだよ

焼酎とカルーアミルク カウントは君との間接キスの数だけ

「星の数ほど」なんて私も言うけれど、見上げる空に月はひとつだ。

年若い君の未来は眩しくて追い越される日の空想をした

年を越す特別なただ一夜(ひとよ)終え君の引力に手遅れの朝

躊躇する理由は星の数あれど戸惑う間もなく落ちてしまった



2007/06/24
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